WeWork は新型コロナウイルス感染症対策の認証をどのように取得したか

Bureau Veritas は、WeWork の世界中のビルをくまなく監査した結果、「グローバル適合証明書」を発行しました

38 か国、800 以上の WeWork ロケーションが最も厳格な新型コロナウイルス対策ガイドラインを遵守し、それを示すことは、大きな難題でした。施設、オペレーション、コミュニティなど、世界中に点在する異なる部門のチームが連携しなければなりませんでした。

しかし、複雑な大型プロジェクトは WeWork の得意分野です。何か月にもおよぶチーム間の調整を経て、WeWork は安全衛生対策への取り組みに対し、Bureau Veritas(世界的に認められている、試験、検査、認証機関)から「グローバル適合証明書」 ( English )を授与されました。

この証明書は、「コミュニティメンバーとスタッフの両方に対し、可能な限り安全を優先させる」という WeWork のグローバルな取り組みの集大成です。認証を得るために、WeWork は担当チームを結成してモニターできるプロセスを確立し、個々のビルの空調設備システム ( English )をチェックし、消毒液などの衛生用品の安定的な供給を確保し、世界中のロケーションでソーシャルディスタンス対策を標準化しました。さらに、WeWork は安全衛生およびセキュリティサービスの分野のリーダー、インターナショナル SOSと連携し、戦略的な方向性についてもアドバイスを受けました。

認証に必要とされる労力は、オペレーション面でも戦略的な面でも、膨大なものでした。世界中のチームメイトに話を聞き、認証に必要となる詳細な情報を集めました。

WeWork:Bureau Veritas の認証を受けるために何が必要でしたか?認証を受けるということは、組織にとってどんな意味がありますか?

Kevin Kirkbride(WeWork サンフランシスコ。ソフトサービス部門シニアマネージャー):認証プロセスは 2 つに分かれています。1 つ目はポリシー自体の保証です。私たちは、グローバルチームや地域のチームと協力し、新型コロナウイルスへの対応策を練りました。さらに、新しいポリシーや手順を導入し、必要な物理的アセットも購入しました。Bureau Veritas は、WeWork の統合的アプローチを精査し、米国疾病管理センター(CDC)および世界保健機関(WHO)のガイドラインに沿ったアプローチに基づき、ポリシー遵守証明書を発行しました。

次は、第 2 のプロセスとして、ポリシーが計画通りに実施されるていることの証明を行いました。これにより、WeWork では、新型コロナウイルスのパンデミック対策として全社的な対応を取るだけでなく、現場レベルでも実施計画に沿って実行されているということを、メンバーに対して保証したことになります。

Jordan McBride(WeWork ニューヨーク、施設管理ディレクター):オペレーション面では、何百もの建物で同時に対策を展開しなくてはならなかったので、体系的なプログラムを作り上げました。計画と現場にギャップがあったら対処し、すべてのビルが対策に準拠していることを確認したため、内部チームもメンバーも、WeWork のスペースは最大限に安全であることを確信できました。この認証プロセスを経たことで、WeWork コミュニティの一貫した品質管理を保証することができました。

新型コロナウイルス対策で認証を取得したことで、WeWork コミュニティに何らかのメッセージが発信されましたか?

Junice Lee(WeWork シンガポール、地域施設オペレーション部門シニアマネージャー):はい。それは間違いありません。メンバーとベンダー企業は、WeWork では安全と一人ひとりの満足感を大切にしていることを知り、安心感を得られます。営業チームは、オペレーションチームとコミュニティチームが万全の態勢を整えたことを知っているので、それを有効に利用してスペースを販売することができます。WeWork の従業員も同じです。会社が万全の対策を施して安全とセキュリティを最優先 ( English )していることをわかっているので、安心して出勤できます。

Adam Weinke(WeWork サンフランシスコ、北カリフォルニア地域ディレクター):私たちが本当に、健康と安全を最優先しているということの証明になります。WeWork のメンバーと従業員に、WeWork は、他の柔軟なワークスペース提供企業と同じではなく、ベスト・イン・クラスである、ということを示しています。私は毎日、さまざまなビルのロビーを通過していますが、WeWork のビルに入るときにいつも最も快適に感じます。なぜなら、私たちがどうすべきかという例を示したからです。

認証プロセスの準備はどのように行いましたか?戦術またはオペレーションの変更が必要でしたか?

Lucia Himenez(WeWork ロンドン、グローバルオペレーションプロジェクトディレクター):WeWork には非常に厳格で包括的な「スペースソリューション:新型コロナウイルス対策導入ガイド」がありました。それに加えて、当社には安全と衛生に対する取り組みや対応計画がありましたので、それらを Bureau Veritas に示しました。そのため、助言、推奨案、検証を受けるために良いスタートを切ることができました。

私たちは、新型コロナウイルス対策に関連するすべてのポリシー、手順、基準を 1 か所に集め、何人もの関係者と部門をまたいで調整し、世界中のロケーションを含めた WeWork 全体で整合性を保つ必要がありました。新型コロナウイルスの感染状況は地域により異なっていたため、各国でどのような新型コロナウイルス対策が取られているかを理解することは、グローバルな対策を展開するうえで鍵となりました。

WeWork Salesforce Tower(カリフォルニア州サンフランシスコ)に設置された空気センサー。写真提供:Chris Hammond

McBride:私たちは内部監査フェーズを設けました。すべてのビルをチェックし、対策案とのギャップや見逃した点を探し出しました。さらに、ビル所有者が空調設備システムを維持管理しているビルでは、ビル所有者と連携して、基準を満たすような適切なフィルターが設置されているか、新鮮な外気を取り込んでいるか、どれくらいの量の新鮮な空気をビルを取り込んでいるかを把握しました。

Chelsea Chéret(WeWork パリ、南ヨーロッパ担当オペレーションディレクター):私たちの施設オペレーションマネージャーとコミュニティチームは、南ヨーロッパ全域ですべてのビルの監査を行い、あらゆるポリシーが正しく実施されていることを確認しました。

Lee:現場で変更された事項もありました。たとえば、次のようなものです。

  • 人々が頻繁に触れる箇所を定期的に拭く
  • 物資の不足を見込んでサプライヤーを現地調達し、アルコールベースの消毒剤、消毒シート、マスク、手袋などの在庫を確保する
  • さまざまなステークホルダーに合わせた清掃方法
  • ビル管理に合わせた空調設備の強化と室内空気の品質管理
  • Zoom ( English ) を利用したビルのリモート監査(入館制限や入館禁止対象のビル、またはスタッフの人手が足りないビルの場合)

こうした対策は、どれ一つとっても、現地の施設オペレーションマネージャー、コミュニティチーム、そして最も重要なコミュニティサービスアソシエイトからの協力がなければ、なし得ませんでした。

認定プロセスからどんなことを学びましたか?プロセスを経る過程で、安全と衛生の取り組みに関する理解が深まりましたか?

Kirkbride:私の立場からいうと、ビルのことを知り尽くすことが課題でした。ビル内のすべての空調設備ユニットを把握し、どんな機能が備わっているのかを調べなければなりませんでした。スペース全域で対策に対応していることを確認するために、カーペットの下から部屋の隅々まで、死角がないように調べ尽くしました。

Jimenez:常識だと思われているようなことでも、細部まで確認しました。細かすぎるということはない、ということがわかりました。明確かつ正確である必要があったのです。WeWork はグローバル企業なので、一般的なポリシーがどこに適用され、現地の法規がどこに適用されるのかを正確に把握することは、コンプライアンスのために極めて重要です。

Chéret:このプロセスを経て、特にビジネスの継続性を計画することについて多くを学びました。また、密度を下げる対策や新しいアセットを配置するためのベストプラクティスをどのように共有したらいいかについても学びました。

Weinke:これは、私たちのコミュニティに長期的思考を持つことを教えてくれました。こうした取り組みは、一度やって終わり、ではありません。今では、営業日であれば毎日確認しています。

認定取得のプロセスで驚いたことはありますか?準備の過程で直面した課題は何ですか?

Jimenez:なんといっても、カバーしなければならない項目の多さです。マスクやソーシャルディスタンスだけではありません。利用者の心の健康や幸福、メンタルヘルス ( English )、ストレス、内部での品質保証、清掃手順、渡航勧告情報、ポリシーの把握、エレベーターへの表示 ( English )、食品や飲料を提供するベストプラクティスなど、非常に多くのことを話し合いました。

WeWork 1450 Broadway(ニューヨーク)

McBride:私にとっての最大の課題は、予想していたよりも多くのビルで、空調設備についてより深く理解しなければならないことでした。空調設備を詳細に調べていくにつれ、適切な調整を行い、ビル所有者が空調設備システムを管理維持しているロケーションでは、ビル所有者と連携することが必要になりました。

Jimenez:審査が完了すると、Bureau Veritas テクニカルアドバイザーは次の 5 点で優れていることに感銘を受けていました。

  • 新型コロナウイルス対策の一環としての空調設備の徹底管理
  • 従業員向けのイントラネットサイトで、心の健康や幸福に関する充実したリソースを提供
  • 図やイラストを豊富に用いた、わかりやすい「スペースソリューション:新型コロナウイルス対策導入ガイド」
  • 新型コロナウイルスの社内監査に関する明確なガイダンス
  • 評価中に当社チームが示した、オープンで、透明で、親しみやすく、積極的な姿勢

もっとも、私はこうしたことに驚いたわけではありません。外部団体が WeWork ソリューションを検証する際、チームの見せた行動や姿勢に誇りに感じました。

WeWork のようにグローバルな拠点をもつ企業が、すべて同じガイドラインに準拠することは間違いなく困難だったと思います。こうしたプロセスをスムーズに行ううえで、企業文化のどのような側面が役立ちましたか?

Kirkbride:WeWork の求める基本概念、すなわち「柔軟性 ( English )」に基づいています。それは、困難な状況に「迅速に対応できる ( English )」ということでもあります。WeWork には独自の柔軟性があります。他の企業では柔軟性に欠ける場合が多いですが、私たちは迅速に認定プロセスを完了することができました。

Chéret:私たちのチームでは、担当地域でメンバーから肯定的なフィードバックを聞くことが何よりもやりがいになりました。これには、会社として単一のガイドラインを持っていることが役立ったことは間違いありません。WeWork には「私たちは 1 つのチーム」という社風があります。新型コロナウイルス対策の実施も、その文化があったからこそ可能になりました。

WeWork Coda(アトランタ)

Lee:共に努力し成長し合う文化です。この監査プロセス全体において、そうした私たちの文化をさらに強く実感できたことが励みになりました。さまざまなチーム(コミュニティやオペレーションを含む)は、メンバー、従業員、ベンダー企業だけでなく、「WeWork スペースに足を踏み入れるすべての人のために、より良い体験を提供する」という共通の目標をもって、改善と成長を繰り返しました。

他の組織が同じプロセスを実施するために、どんなことを勧めしますか?これらすべてから得た重要な点は何でしょうか?

Weinke:共に努力し成長し合うことです。私たちは完全なチームであり、単に組織の一部ではありません。皆が一丸となって取り組みました。次にお伝えしたいのは、起業家精神です。100 歳の人でもない限り、ウイルスの世界的な流行を経験し、それに対応した人はいません。私たちは、ゼロから創造的に考えなければなりませんでした。しかも、WeWork は組織全体で恐れずに挑戦しました。全員で最高のアイデアを持ち寄り、それが成功につながりました。

McBride:現地の規制をよく理解することです。商業不動産に関する政府の法律は市場によって異なるため、私たちが行ったように迅速に展開するには、現地ではどのような法規制があるのかを常に把握し、コンプライアンスに問題がないことを確認する必要がありました。

Lee:新型コロナウイルスの世界的な流行は、好むと好まざるとにかかわらず、このまましばらく続くでしょう。ウイルスを完全に排除することはできませんが、少なくとも、感染拡大を最小限に抑えるために、それぞれの持ち場で行えることがあります。長いプロセスになるかもしれませんが、主要なチェック項目や手順のコツが整ったら、後は日常業務の中でルーティンとしてベストプラクティスを実行するだけです。監査のときだけに特別に行うものではありません。私たちの取り組みに終わりはありません。常に、すべてのビルで一貫性が保たれているように努める必要があります。

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