顧客中心主義の文化を築く方法

お客様を最優先に考えることは、お客様のためだけでなく、会社全体にも利益をもたらします

WeWork Innovation Pointe 2(ユタ州リーヒ)。 写真:WeWork

顧客中心主義とは、2 つのことを意味します。第一に、お客様と気持ちの上で強い結びつきを生み、エンゲージメントを喚起して販売につなげることを基本としたビジネス戦略です。第二に、顧客心理を理解して組織全体の意思決定に役立てる企業文化 ( English )の一種です。

顧客中心主義の文化が醸成されると、ビジネス上の意義だけでなく、企業にとって別の観点からも有益になります。ブランドについて知り、最初の購入に至り、オンラインでフィードバックを残し、友人に製品を薦めるという一連の流れ、つまり「カスタマージャーニー」という考え方は、E コマースやオンライン販売の世界では深く根付いています。それ以外の業界でも、お客様相手の企業であれば、この考え方から利益を得ることができます。

顧客中心主義を実現する方法の 1 つは、常にお客様の近くにいることです。貴社の顧客基盤が国や州をまたいでいる場合、サテライトオフィス ( English )を利用すると、顧客の地域に密着したカスタマーサポートの拠点を構築できます。そうすると、時差もなく、お客様の母国語で会話ができます。WeWork All AccessWeWork On Demand ( English ) があれば、世界中に数百とある専用ワークスペースから選んで仕事をすることができ、お客様が最も必要とするときに近くにいられるようになります。

この記事では、顧客中心の企業文化が組織のタイプを問わずにどのように有益なのか、また、貴社でこれを実現するためのアイデアをいくつか紹介します。

顧客中心主義の文化とは

顧客中心主義の文化とは、簡単に言えば「お客様を第一に考える」ということです。これは一見当たり前のように聞こえます。お客様を相手にビジネスをしている企業の多くが、お客様は常に最優先事項だと言うでしょう。ところが、本当の顧客中心主義を貫くには、「お客様はいつでも正しい」という決まり文句だけでは足りません。

顧客中心主義を徹底している企業は、お客様の要望やニーズを理解するために、時間、リソース、資金を投資しています。また、お客様の購買行動やその背景に基づいて、データ駆動型のプロフィールを構築することも重視しています。このような組織は、顧客と有意義かつ長期的な関係を築くことを目的としています。そのために、カスタマージャーニー ( English )を念入りに想定し、ビジネス上のあらゆる意思決定の最前線にお客様を据えることで、それを実現しています。

顧客中心主義の文化が重要な理由

顧客中心主義の文化 ( English )とは、お客様が貴社ブランドをどのように捉え、どう感じているかを重視するものです。この基本原則に基づいて会社を形づくるべき理由は数え切れないほどありますが、最も明白な理由の 1 つとして、顧客獲得コストが年々増加している点があります。顧客体験をビジネス戦略の中心に据えることは、ブランドロイヤリティを高め、既存顧客を維持し、最終的に企業のコストを削減するために重要な要素です。

顧客中心主義がもたらす利点

お客さまに喜んでいただくことが、会社の成功につながります。そのため、お客様を喜ばせる方法について常に考える必要があります。E コマース業界なら、カスタマージャーニーの重要なタッチポイントでお客様と接し、信頼関係を築き、お客様の疑問や質問に答えることができます。また、ロイヤリティプログラムや柔軟な支払いのオプションを提供したり、商品を開封する場面で工夫を凝らしたりすることで、お客様の印象に残り、ソーシャルメディアで共有したくなるようにすることも重要です。

このような顧客中心の考え方がもたらすメリットは、貴社のファンとなり、信頼できる買い物客を増やすことです。こうしたお客様は、ジムなどで友人とのおしゃべりを通じて、貴社のブランドアンバサダーとなります。TikTok や Instagram ( English ) に貴社製品の動画を投稿し、さらに購入するためにリピーターとして戻ってくるでしょう。

製品のようなモノではなく、サービスを販売している場合でも、同じことが言えます。サービスを販売する場合、顧客中心主義がもたらすメリットはさらに大きくなる可能性があります。トライアル期間中のユーザーや新規メンバーとのパーソナライズされたコミュニケーションは、彼らを生涯の有料登録メンバーに変える最も効果的な方法の 1 つです。

組織文化を変える

組織文化を変えることが難しい理由

「組織とはコンテナ船のようなものだ」という古い言葉があります。方向転換には大がかりな計画と労力が必要となり、初期段階での小さな調整が後々大きな効果をもたらすこともあります。

これまで長年にわたり、多くの企業にとり、企業文化を変えることが困難な理由についての分析がなされてきました。たとえば、旧態依然の組織では、初期の頃に成功した戦略を過大評価し、抜本的でリスクの高いアイデアを避ける傾向にあります。映画のレンタルビジネス業界の例など、枚挙にいとまがありません。

これは、融通の利かない大企業だけが抱えている問題ではありません。スタートアップですらも、先行企業の成功事例を模倣しようと、業界内で広く受け入れられている方針を採用して、マンネリ化に陥ってしまうことがあります。組織文化 ( English )を変えるには、イノベーションだけでなく、リスクを恐れない姿勢も必要です。

企業文化を顧客中心主義に変えるには

人材の採用 ( English )は、企業文化の方向性を決める上で、組織に与えられた最も強力なツールです。

顧客中心主義を実現するには、高い共感力を持ち、コミュニケーション分野での訓練をしっかり受けている従業員を採用する必要があります。多くの企業では、ブランドとお客様との接点となる潜在的なタッチポイントはほんの一握りしかありません。そのため、お客様のニーズを理解した上で、親しみやすく、かつパーソナライズされたメッセージを発信することが必要となります。

これは、カスタマーサービス職の採用だけにとどまりません。データ駆動型の顧客プロフィールを構築するためには、共感力とコミュニケーションスキル ( English )も重要となります。これは、名前、趣味、性格、仕事などを持つ架空の理想的な顧客であり、自社製品やサービスを売り込む相手となります。

このような顧客インサイトは、社内すべての従業員と共有され、全部門において顧客中心の考え方が奨励される必要があります。そうすれば、グラフィックチームがアプリのインターフェイスをデザインするときも、開発チームが新製品のプロトタイプを作るときも、マーケティングチームが新しい広告キャンペーンを作成するときも、常にお客様が最優先されるようになります。

顧客中心主義の文化を構築する

顧客中心主義アプローチを定義する

顧客中心主義を定義する際、顧客以外のことからスタートしてつまずき企業がたくさんあります。自社や競合他社がすでにやっていることを最初に考えないでください。そうではなく、まず、お客様を定義しましょう。彼らの価値観、予算、ニーズは何か。そして、お客様の利益を事業戦略の中核に据えるために、何を変える必要があるのかを整理してください。

それは、カスタマージャーニーを最初から最後まで管理できる新しいツール群の使用でしょうか。採用方針の変更と、新入社員に向けたトレーニングプログラム ( English )の開発でしょうか。それとも、より顧客志向の高いアプローチを実現するには、今の企業文化を少し変えるだけでよいのでしょうか。

製品中心から顧客中心へと転換を図る

製品中心の戦略では、販売そのものに価値が置かれ、少額であろうと売上が重視されます。多くの企業にとって、これは優れたビジネス方法です。たとえば、ガソリン販売の場合、あなたの仕事はタンクをガソリンで満たし、価格を抑えることであって、お客様の名前を覚えたところであまり得るものはありません。

ところが、ガソリンスタンドにもロイヤリティプログラムがあります。それは消費者をリピーターへと誘導する最もシンプルで一般的な方法の 1 つだからです。この顧客中心主義の考え方は、取引そのものではなく、たった今、商品を買ってくれた人との関係性を重視するものです。 

顧客中心主義とは、データを駆使し、ターゲットを絞り込んだメッセージを最も効果的なタイミングで配信することで、リピート販売を促進し、顧客との有意義な関係を育むことを目的としています。製品中心主義では、貴重なデータが無駄になり、企業の効率性、アジャイル性 ( English )、収益性が低下する可能性があります。

顧客中心主義の文化を守り続ける

企業文化を変えることと同様に、たとえ内側から変えていっても社内に正式なプロセスを制定して後押しないと、せっかくの動きが後退してしまう傾向があります。

目的の明確なトレーニング、やる気を喚起するリーダーシップ、オープンなディスカッションなどを通じて、お客様との関わり方に対する新しいアプローチを強化しましょう。懸念や問題点があれば、それが戦略を狂わせるような事態に発展する前に、上司に相談し、対処してください。

顧客中心主義がもたらす利点を測定する

顧客志向が強化された場合の成果は、売上の数字だけでは簡単に測れません。他の指標を掘り下げて詳細化し、戦略が成果につながったかどうかを判断するための重要なパフォーマンス(KPI)指標 ( English )(アンケートや製品レビューを通じて得られた顧客のフィードバックなど)を決定しましょう。

顧客生涯価値(CLV)は、重要な指標の 1 つです。これは、個々の顧客の累計消費額を追跡するものです。直近の平均消費額から、今後も継続して買い物や取引をしてくれそうな可能性まで、あらゆることを考慮に入れます。

顧客維持率は CLV を決定する主な要因の 1 つでもあることから、リピーターの増加を目指す戦略を立てる上で、この指標の追跡も重要となります。これは、店舗での楽しい買い物体験をデザインする場合にも、割引やメンバー制度などの特典を提供して単発のお客様を生涯にわたるファンに変える場合にも、当てはまります。

自分たちの顧客中心主義の文化を造る

顧客中心主義への移行は、単に顧客を満足させるだけではありません。それは、顧客体験に焦点を当てた企業文化を構築することから始まります。つまり、チームが一丸となって、貴社の製品やサービスを購入してくれる人とより良い関係を築こうとすることから始まり、最後には、ロイヤリティや販売の増加など、より大きな成功で終わることです。 

WeWork のオフィススペースは、ニーズに合わせて拡張でき、貴社の顧客に近い場所にある上、カスタマイズが可能です。そのようなスペースを提供することで、私たちは貴社の企業文化の変革をお手伝いします。WeWork All Access があれば、世界各地に何百とあるとケーションのワークスペースを利用していただけます。

また、高い柔軟性へのニーズに対応した WeWork On Demand ( English ) を使用すると、世界各地の数十都市にあるスタイリッシュなワークスペースや会議室を、都度払いプランでご利用いただけます。月極契約の必要はありません。

Steve Hogarty 氏は、ロンドンを拠点とするライター兼ジャーナリストです。 City AM 新聞で旅行記事の編集者として、City AM マガジンでは編集局次長として働いており、テクノロジー、旅行、エンターテイメントに焦点を当てています。

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