TheLi.st と WeWork が女性のチェンジメーカーにスポットライトを当てる

5 人の著名な活動家が、平等な社会づくりへの大きな一歩へとつながる小さな変化を起こす方法について話します。

TheLi.st の CEO である Ann Shoket 氏とスピーカーの 3 人。写真左から右へ、Deepa Purushothaman 氏、Eve Rodsky 氏、Jennifer DaSilva 氏(撮影場所: WeWork Constellation Place ロサンゼルス)。撮影者:Danielle Klebanow と Stefanie Delgado/WeWork

今年は、女性史月間における会話が、これまで以上に緊急性を帯びているように感じられました。トラウマになるほどのパンデミック、男性よりはるかに高い女性の失業率、痛ましい制度的人種差別と不平等を明るみに出した社会正義についての見直しを試みた 2 年間を経た今、解決策について話し合うべき時がきたのです。

この目標を念頭に、TheLi.st は WeWork と提携し、米国全土で有名な活動家たちを集め、私たちの進むべき道についての意見を交換する対談を開催しました。 

TheLi.st は、メディア、テクノロジー、起業家精神、ビジネス界において影響力のある女性やノンバイナリーの人々が集うコミュニティで、互いに助け合いながら成果を上げ、共に成功することを目指し活動しています。ここでは、ゲストスピーカーについて、またスピーカーの方々がお話ししてくれた不公平のない未来のためのアイデアをご紹介します。

母親としての役割を超える 

Fair Play』、『Find Your Unicorn Space』の著者である Eve Rodsky 氏は、女性が母親や妻という役割を超えて自分自身を見つめ、やりたいことに没頭するためのスペースを作る手助けをしたいと考えています。

なぜ、女性が他人から見た自分の役割を超えて自分のためのスペースを作ることが大切なのでしょうか?

今、女性は疲れ果てています。「Unicorn Space」を求める、つまり自分が情熱を持つことを追求するスペースを求める女性が増えたということは、時間に対する価値観が変わってきているということです。女性が妻やパートナー、母親、あるいは労働者としての役割以外のところで報酬の発生しない趣味や関心事に時間を費やすことは、現代においても許されざることという空気があります。 

女性が積極的に自分のために使えるスペースを作るにはどうすればよいでしょうか?

自分が常に誰かのために何かできるよう準備しておかなくてはいけないという考えを捨て、そうすることによって自分のために何かをするということへの罪悪感や恥ずべきという感情をなくすと、自分の趣味や関心事、価値観に合ったもの、自分を幸せにしてくれるものなど、自分の好奇心を探求するためのスペースが自然と作られます。 

なぜ、女性にとって「常に誰かのために何かできるよう準備しておかなくてはいけないという考えを捨てる」ことが重要なのでしょうか?

自分のために使えるクリエイティブな時間を優先することは、自己意識の維持や人間関係の健全化につながります。また、こういった時間なくしては「充実した有意義な人生とはどのようなものか」ということを家族やコミュニティに伝えることができません。疲れ切ってしまったり、自分自身を見失ったりしてしまうことを予防するという意味でも、女性である私たちはそれぞれ、クリエイティブな自己表現のためのスペースと時間を確保し、その他の時間と確実に線引きしなくてはいけません。

有色人種の女性へのサポート

The First, the Few, the Only』の著者である Deepa Purushothaman 氏は、有色人種の女性の仕事をサポートし、賞賛するような企業文化を育みたいと考えています。

Deepa Purushothaman 氏(写真左)とAnn Shoket 氏。

有色人種の女性に特有の課題にはどのようなものがありますか?

有色人種の女性(women of color、WOC)は、成功し出世するために他の人々よりも努力をして社会に適応しなければならないと教えられてきました。しかし、古い教えは今日の私たちの目指すものが完全に反映されたものとはいえません。このような教えに従っていては、有色人種の女性たちは自分自身のアイデンティティの一部を消してしまうことになり、それを隠してしまっては本来の力を発揮することはできません。これまで、完璧にインクルーシブになっていない企業文化に疑問を呈すべきところを、そうではなく、自分自身のアイデンティティに疑問を持つ有色人種の女性をたくさん見てきました。

なぜこのような課題がそれほどまでに女性を苦しめているのでしょうか?また、なぜ克服するのが難しいのでしょうか?

私たちは、社会で一人前と認められるには白人の 4 倍の努力をしなければいけないと教えられてきました。しかし、一人前と認められたところで、現状がどんなに有害なものであっても、それを変える力は私たちにはないと気付かされます。力を得るチャンスが到来したときには妥協しなければならず、これには自分のやりたいことができるという考えを捨てるということまで含まれます。なぜなら、そんなチャンスは滅多に訪れないからです。そのようなことを繰り返していくうち、私たちは疲れ果て、自分たちの声をより小さくしていまいます。

アメリカの企業が掲げる「インクルージョン(包括性)」という言葉には、特に有色人種の女性にとっての平等は含まれていません。「the First, the Few, the Only(最初で、少数の中の、唯一の存在)」として、私は、すべての有色人種の女性が社会に対して疑問を投げかけ、自分たちの方法で「力」を得ることができ、「力」を再定義する社会を作りたいと考えています。つまり、幼少期の教えや企業から強制された方法ではなく、自分が信じる「力」を自分自身で見つけ出すことのできる世の中にしたいのです。

なぜ、女性にとって「常に誰かのために何かできるよう準備しておかなくてはいけないという考えを捨てる」ことが重要なのでしょうか?

私たちは、一生懸命働くことが生活に与える影響について、真剣に考えなければなりません。一生懸命働くことが、心身の健康や人間関係、自尊心に及ぼす影響について、十分に考えられていないと感じるからです。また、成功した有色人種の女性に、それが身体や精神に与えた影響や、どれだけの人がそれまでいた企業から退職し、自分の会社を立ち上げなくてはいけなかったかを聞く必要があると思います。私たちは、成功へと向かう過程で、自分自身を顧みることを忘れず、心身ともに健康であるためのスペースや時間を優先する必要があるのです。

燃え尽き症候群への対応 

WPP のクリエイティブエージェンシー Berlin Cameron の社長 Jennifer DaSilva 氏は、燃え尽き症候群と疲労に注目しています。

パンデミック時に燃え尽き症候群に悩まされる女性が男性よりも多かったのはなぜでしょうか?

女性と男性では、抱える責任の量に差があります。パンデミック時には、家事や育児の負担が女性の肩にのしかかりました。その結果、女性の方が燃え尽き症候群になりやすかったのです。しかも、女性には家事に加え仕事上の責任もあります。 

女性には、複数の役割を果たさなくてはいけないというプレッシャーがあります。私たちの調査では、こうしたプレッシャーは非常に大きく、これが女性の創造性や情熱を何かに向けて発揮するのを妨げていることが明らかになりました。女性の時間を男性の時間と同じように大切にし、女性が活躍できる創造的なスペースを確保することが必要なのです。

燃え尽き症候群に気付くことのできる職場にするにはどうすればよいでしょうか? 

私たちの調査によると、女性が上司に求める一番のことは、通常業務外の表面に現れない労働への報酬です。女性は、決められた業務に加えて、仕事に付随する事務的な業務やスケジュール管理などを担当することが多い傾向にあります。職場 ( English )は、この目に見えない労働に注意を払い、平等な分業体制を確保し、「余分な」仕事をこなす人に報酬を与えることが必要です。また、従業員が安心してストレスについて話すことができるスペースを作ることも重要です。 

女性が自分自身をサポートするにはどうすればよいでしょうか?職場にできることはありますか?

私たちの調査では、64% の女性が「もっと自分の時間が欲しい」と思っており、53% が「自分自身や自分の興味、趣味に投資したい」と思っていることがわかりました。もし、いろいろなことに没頭できる時間を作ることができれば、自分を解放し、創造性やインスピレーションを感じることができます。自分のために何かをすることへの罪悪感をなくすことで、この時間を確保することができます。こうしたクリエイティブでインスピレーションを受けられる時間を自分や他者にとって必要なものと位置づけ、自分自身の人生にもっと関心を持つことが必要です。

職場では、自分のために時間をとるように呼びかけましょう。72 and Sunny のように、リカバリーコーディネーターが存在し、全員がまとまった休暇や休息を取れるように管理することでこれを実現しているエージェンシーもあります。

インクルージョンを基本理念とする

Inclusion Revolution』の著者である Daisy Auger-Dominguez 氏は、雇用する者とされる者がインクルージョン(包括性)を基本理念とし共同で創り上げていくのが未来の職場のあり方であると話します。

インクルージョン(包括性)とは 

近年では、多くの組織が「ダイバーシティ(多様性)」という言葉を「インクルージョン ( English )」に、さらに最近では「ビロンギング(帰属性)」という言葉に変換しています。ダイバーシティとは、組織をいろいろな背景の人で構成するということを意味します。インクルージョンとは、さまざまな背景を持つ人々が、自分の意見やアイデンティティが尊重され大切にされていると感じる環境を作ることを意味します。 

共催者で MSNBC キャスターの Alicia Menendez 氏(写真左)と著者の Daisy Auger-Dominguez 氏。

ビロンギング、つまり集団やコミュニティ内でのつながりを表すこの言葉は、とても高いレベルの状態とみなすことができます。また、これは人間の根源的な欲求でもあります。研究によると、私たちの脳は食べ物を欲するのと同じように、どこかに所属したいという気持ちを持っていることが分かっています。他の研究でも、所属しているという気持ちなくしては、人間は憂鬱になり、やる気をなくしてしまうことが明らかにされています。重要な会議に出席し、発言権を与えられたとしても、自分のような人はここには属さないと感じてしまうこともあります。

なぜ、こうしたことが仕事にも影響を与えるのでしょうか? 

現在、企業が直面する最も緊急性の高い課題の 1 つは、人種や性別、ジェンダーやセクシュアリティ、障害、年齢などが異なるさまざま人材を採用し、維持する ( English )ことです。戦略的に成功を収めるためには、包括的で公平な職場の構築が欠かせません。組織は、あらゆるレベルでビロンギング、つまり帰属意識を育むための投資を行うとともに、組織的な不公平や格差を是正し、人材の確保を行う必要があります。

包括性の高い職場を実現させるためのアドバイスはありますか? 

自分の職場にどれだけ深い偏見があるのかを理解することです。それは、自分自身の盲点や思い込みを認識することから始まります。自分に問いかけてみてください。インクルーシブな職場を構築したいと考えたのはなぜですか?今のあなたがいるのは、過去のどのような出来事のおかげですか?どのような信念を捨ててきましたか?捨てずにきた信念はどのようなものですか?その理由は?何が自分を緊張させ、戸惑わせていますか?

好感度にしばられない

MSNBC のキャスターで『The Likeability Trap』の著者である Alicia Menendez 氏は、好感度にしばられることが職場で女性を脇に追いやり、委縮させる原因であると考えています。

好感度にしばられるとはどういうことですか?

女性は無理難題を押し付けられてきました。職場では、強い女性は冷たいと批判され、温かい女性は都合の良いお人好しとみなされます。有能な女性であっても、給与や昇進 ( English )を交渉したり、自分の手柄を認めさせるために、好感度を高めようとする傾向にあります。そして、こうした行動は通常、好感度を逆に下げてしまうという研究結果もあります。好感度に人種や民族、性的指向の違いや子を持つかどうかなどが関わってくると、これは二重の負荷となります。

なぜこれが女性にとっての障害となるのでしょうか?

女性には、他人からどう思われるかを気にしなければならないという内面的なミッションと、キャリアアップという外面的なミッションがあります。しかし、この偏見によって害を受けるのは女性だけではありません。職場は、才能とアイデアを失うことになります。リーダーの性別にかかわらず、そのような狭い定義でリーダーのあるべき姿を捉えることにより制限が生じます。 

職場内で男女関係なくこの問題に対処する方法には、どのようなものがありますか?

異なる人生経験を持ち、異なるスタイルを持っているであろう人をスポンサーにしましょう。言葉に気を付けることも大事です。「優柔不断」なのか、それとも「思慮深い」のか?「感情的」なのか、「情熱的」なのか?「攻撃的」なのか、それとも「チームのために成果を出している」のか。姿勢ではなく結果に焦点を当て、さまざまな角度から見たフィードバックを提供します。 

Ann Shoket 氏は TheLi.st. の事業主兼 CEO です。広く評価されている『The Big Life』の著者でもあります。Shoket 氏は Good Morning America に数多くの寄稿をしており、TEDx、SXSW、The Pennsylvania Women’s Conference などのカンファレンスや Facebook、Microsoft、Avon などの企業で講演しています。

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