手をつけなければならない仕事はたくさんありますが、他の人のニーズや締切が近いから、という理由にもとづいて優先順位がつけられることもよくあるでしょう。これはプライベートでも起こりがちです。実際に重要なこと にかけられる時間は限られているのに、「忙しくしていること」にエネルギーが消費されていたり。これは、明確な意図または将来の目標 にもとづいてタスクの優先順位をつけることで回避できるものです。着手する優先項目にはきちんとした目的や価値があることを確実にすれば、それほど大事ではない項目で自分の「やることリスト」を無駄に長くしなくて済むのです。
戦略的な優先順位のつけ方を学ぶことで、働き方は劇的に変わり、オフィスで過ごす時間 やプライベートの時間も最大限に活用できるようになります。このような戦略は、あなたにとっての最優先事項を評価し、設定していくのに大きく役立ちます。
職場での優先順位のつけ方 7 選
用意周到な 優先順位づけ をするためには通常、やることリストを作成し、リストの内容を吟味し、その内容に対する所要時間を決めるという割り当て作業が含まれます。優先度が高く緊急を要する項目を優先するため、優先度の低いタスクを中断するなど、優先順位づけには柔軟性を持たせる必要があるでしょう。
1. すべてのタスクが一目でわかるリストを作る
効果的に優先順位づけをするためには、まず何をやらなくてはならないのか、その全体像の把握から始まります — どんなにありふれたタスクであろうと、リストに書き出して考慮する対象になります。全体像を把握するには、まず 仕事とプライベート両方のタスク を 1 枚のやることリストにまとめます。
ドライクリーニングの受け取りから 上司とのミーティング のスケジューリングなど、やるべきことはすべて同じ場所に書き出します。その後、重要性、緊急度、所要時間、そして各タスクを達成することで得られる結果(報酬)によって優先順位がつけられる場合がほとんどでしょう。
2. 重要事項の特定:真の目標は何かを理解する
時間管理のための戦略 のように思えるかもしれませんが、優先順位をつけることは、長期的な目標を達成するための鍵となります。本当のところ、自分が何に取り組んでいるのか — それが昇進なのか、プロジェクトの完成なのか、それとも転職なのか — それを把握することが、将来の成果に向けて最も適したタスクを特定するのに大いに役立つのです。より大きく長期的な目標があれば、それをより小さな、時間軸と照らし合わせた目標に分割することは良いアイデアです。例えば、1 年の目標を月々のやることリストに分解し、さらにそれを 1 週間ごとのタスク、日々のプライオリティ、と細分化するのです。
メキシコシティの WeWork Reforma 26 のメンバーで、PR 会社の Another Company でシニアファッションアカウントエグゼクティブを務める Alejandro Cerecedo さんは、毎年の仕事始めにその年の長期的な目標をチーム全体で設定し、具体的なアクションプランをすり合わせ、モチベーションをあげる努力をしています。「仕事とプライベート両方での目標について話し合い、それをどのように達成していくのか具体的なタイムラインまで決めています」と Cerecedo さん。
このように、全体像を見ながら考えるやり方は、効果的な優先順位づけの最たるものと言えるでしょう:ただ忙しくしているだけで進歩していると考えるのは、よくありがちな落とし穴です。でも、最終的な目標に対し何のインパクトも生み出せないタスクで忙殺されるのは、時間の無駄 なのです。一つ一つのタスクの長期的な価値はどれほどなのか、自分自身に正直でいることを心がけつつ、常に最終的なゴールを念頭に置いて作業することが重要です。
3. 緊急を要するものを目立たせる
やることリストは、各項目とその期限が一目でわかるようにします。そうすることで、どのタスクから取り掛かる必要があるかが特定され、将来の期限に従って事前に計画を立てることができるからです。
また、期限や締め切りが正式に設定されていない場合でも、自分の中で期限を決めることも重要です:そうしないと、時間的な制約がないからというだけの理由で、重要なタスクが延々と後回しになってしまうからです。(この戦略はまた、生産性の向上 と、作業の後回しの回避にも有効です。)
4. 重要性と緊急性にもとづいて優先順位をつける
1989 年出版の 著書『7 つの習慣(原題:The 7 Habits of Highly Effective People)』で、ビジネスマンであり基調講演者でもある著者の Stephen Covey 氏は、それぞれのタスクはまず重要性と緊急性に応じて分類し、それから優先順位をつけるべき、と書いています。
- 緊急かつ重要:これらのタスクは最初に着手する必要があります。
- 重要だが緊急ではない:中断されることなく作業するための時間を予め準備しておきましょう。
- 緊急だが重要ではない:他の人に割り振りましょう。誰かに割り振ることの重要性を見逃してはなりません。
- 緊急でも重要でもない:やることリストから除外します。
重要なタスクが優先されていることを確実にするもう一つの戦略として — 押しの強いステークホルダーからの依頼、もしくは「緊急」と銘打たれた一度限りのリクエストよりも優先できるようにするためには— 最重要タスク(Most Important Tasks、略して MIT)メソッド をご紹介します。このメソッドでは、その日のうちに 必ず 着手すべきタスクを 3 つだけ別にリストします。これら 3 つのタスクは、緊急性よりも重要性をもとに選ぶ必要があります。どれを選ぶか決めるには、目標を意識した問いかけをしてみましょう:最終的な結果に最も大きな影響を与えるタスクはどれですか?その最終的な目標に向けて 今日中にできる ことは何でしょうか?
5. 優先事項内での競合を回避する
作業中のタスクが特に難しくない時は、複数のタスクを同時進行させるのは比較的簡単です。でも、タスクの難易度が増すにつれ、職場でより権威のある人は単一の目標を優先するのに対し、それほど権威のない人は、引き続き複数のタスクを同時進行させようとする、ということが 研究で明らかになっています。このような、複数のタスクを同時進行させる方法は、最も重要なタスクに対するクオリティが低下し、仕事の全体的なパフォーマンスが劣化してしまうものと 考えられています。
一度に一つの重要なタスクに集中し続けるためのコツは、何がそれを邪魔しているのかを把握することです。それが同時進行しているタスクでも、1 回限りのリクエストでも、1 日を通してそのような邪魔を意識的に回避するのです。つまり、例えばプロジェクトに関連するデータの取得作業と、プレゼンテーションのためのスライドの作成作業が重なっている場合、まずはどちらか一つを優先し、その作業中は他の仕事やメール、メッセージ、そしてもう一つの作業に関する準備を一切しない、というように。
6. どのくらいの労力が必要なのかを見極める
やることリストにあまりにもたくさんの項目があると、圧倒され、心が折れそうになってしまうものです — でも、そのような気分は生産性を低下させ、仕事の後回しにつながります。そうならないようにするためには、やることリストをすべて網羅するのに必要な労力を見極め、一つ一つのタスクを吟味していくことが肝心です。
やることリストが長すぎる場合、一番時間がかからず、最低限の努力で終わるものから迅速に先に手をつけていきましょう。このようにどんどんタスクを終わらせていくことで、ほっと一息つけるような安心感だけでなく、そのまま作業を続けていく上で励みとなる、達成感も得られます。
7. 進行状況を常に確認し、現実的であるようにする
生産性コンサルタントの David Allen 氏による『Get Things Done (GTD)』の 5 段階メソッドの一つとして、「見直し」が挙げられています。タスクのリストとプライオリティを頻繁に見直すことは「コントールと集中を取り戻す」と Allen 氏は言います。
効果的に優先順位をつけるためのヒント
適切な優先順位づけの必要性を認識するにつれ、単純にやることリストを作っていた時に比べて、もっと複雑なことのように思えたり、時にはそれがストレスにさえ思えるような場合もあるでしょう。これまでご紹介した内容の要約は以下の通りです。より意図的な優先順位づけのためにお役立てください。
- すべてを書き出す: 仕事関連でもプライベートなタスクでも、すべて一箇所にまとめて書き出しましょう。
- どれが長期的な目標なのか見極める:長期的な、より大きな目標はどれかを把握し、それを達成する上で必要な作業について考えます。
- 長期的な目標を分解する:長期的な目標を達成するために必要な、1 年・1 ヵ月・1 週間単位の作業内容を決定します。
- 明確な期限を設定する: それぞれの優先項目に対する期限が一目でわかるようにします。正式な期限が無いものについては、自分の中でいつまでに終わらせるべきかという期限を作ります。
- 「緊急性 vs 重要性」メソッドを採用する: 緊急かつ重要なタスクをまず優先し、重要だが緊急ではないタスクには作業のための時間を確保し、その他のタスクは他の人に振るか、リストから除外します。
- 毎日の最重要タスク(MIT)リストを作る: その日のうちに終わらせるべき、3 つの重要なタスク を書き出しましょう。これらのタスクは、より大きく長期的なゴールに関連しているものであることが好ましいでしょう。 テスト
- タスクの邪魔を回避:タスクの難易度が高くなるにつれ、タスク内で競合しているものは意図的に回避します。
- 労力に考慮する:やることリストが長すぎる場合、時間がかからず簡単なタスクから素早く終わらせることを優先します。
時間を優先し、現実的なものにする
どんなに上手に優先順位をつけたとしても、1 日に達成できることには限りがあり、そしてある程度の邪魔は避けられないこともあるでしょう。目標の設定や優先順位づけの際には、現実的であることも重要です。さもなければ、周囲からの期待値が現実と乖離してしまい、自分自身も常に遅れを取ってしまっているような感覚に陥ってしまうでしょう。
優先順位づけの目的は、最終的にあなたを正しい方向に導く長期的なゴールに影響を与える、最も重要な作業に時間を割くことだ、ということを忘れないようにしましょう。優先順位づけが上手にできれば、より意図的な作業に集中でき、作業が後手に回るような感覚は薄れるでしょう。真の進歩を意味する重要な仕事を終わらせることに狙いを定め、ただ忙しいだけで実はあまり大きな影響は生まれていない、というような状況を避けるのがここでの究極の目標です。
Caitlin Bishop は NYC 在住、WeWork の Ideas by WeWork のライターで、以前はオーストラリアのシドニーで Mamamia のジャーナリスト兼編集者、 Gotham Gazette のレポーター などをしていました。
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