こちらをクリックすると、従業員が職場復帰した際に、満足度の高い、かつ生産性を高められるようにする方針をご覧いただけます。
調査によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行中に在宅勤務を経験した従業員は、オフィスに出社したい(週に 1 日は出社したいを含む)と感じています。ワクチンの臨床試験が順調に進み、まもなくワクチンの接種も可能になるという予測が高まる中、企業は柔軟性を取り入れた職場復帰の概要をまとめながら将来の計画を立てる時期にきています。企業は効果的な戦略を考案するためにも、この秋、職場復帰を果たした企業の実例から学ぶことができます。
意思決定者にとって、職場に従業員を無事に復帰させる要因で最も重要なものは、従業員に安心感を与え、オフィスへの復帰を受け入れてもらうことです。では、どうしたら安心感を持つことができ、生産性を上げられるのでしょうか。この調査では、職場に復帰した従業員のパフォーマンスに影響を与える方針や条件を究明し、従業員の職場復帰を成功させるために、企業が実施できる方策を紹介しています。
新型コロナウイルスの感染が再度拡大したため、世界中で多くの従業員が再び在宅勤務を余儀なくされました。企業にとり、最終的に職場復帰を実現させる最適な方針を理解し、実施することは、従業員のパフォーマンスと会社の業績の向上に直結しています。この調査で導かれた結果は、特にワクチンが普及した後の将来に備えて、企業が事前に計画を立てるのに役立ちます。
調査方法
2020 年 10 月、WeWork は研究と戦略を専門とする企業、ブライトスポットストラテジーと提携し、米国、カナダ、メキシコ、および西ヨーロッパにおいて専門職に就く従業員の代表者に対し、ブラインド調査を実施しました。この調査は、在宅勤務を経て従業員が職場復帰した際、どうしたらより満足して生産性を高められるか、そのために必要な条件を見極める目的で行われました。この調査はブラインド調査として行われ、WeWork やコワーキングの評価には一切言及していません。
主な調査結果
- 週 4〜5 日出社することになった人は、在宅勤務を続けている人に比べて働く意欲が 54% 高まったと回答しました。週 1~5 日出社することになった従業員全体では、働く意欲が 40% 以上高まっています。
- 職場に復帰した従業員は、在宅勤務を続けている人に比べて、あらゆる指標で改善が見られたと回答しました。個人の生産性は 3%、共同作業の生産性は 6%、個人の幸福度は 4%、会社への愛着や帰属意識は 8% 上昇しました。
- 「在宅勤務は効率がよくなかった」と回答した人では、オフィス復帰後に会社への愛着や帰属意識が 18% 上昇しました。それとは逆に、「職場復帰する理由がない」と回答した人では、在宅勤務を続けている人と比較して、パフォーマンスの変化や低下は見られませんでした。
- PPT(個人用防御具)や手指消毒液を用意した企業では、従業員の自己評価によると、会社への愛着や帰属意識の向上に最も大きな影響が見られ、上昇率は 11% です。職場の安全性が中程度から非常に安全であると判断された職場環境では、個人の生産性が 4% 上昇しています。一方、安全でないと判断された職場では、個人の生産性が 9% 低下しました。
- 職場復帰への会社の対応が効果的だと感じた従業員は、共同作業の生産性が 7% 上昇し、愛着や帰属意識が 12% 上昇したと回答しています。会社の対応が効率的でないと判断された企業では、共同作業の生産性および愛着や帰属意識の面で 4% のパフォーマンスの低下が見られました。
従業員が生産的に働き、やりがいを感じ、会社を肯定的に捉えられることは、ビジネスの成功に不可欠です。自分の仕事にやりがいを感じられない人は、欠勤率が 37% 高く、生産性が 18% 下がります。連携やコミュニケーションがうまく取れないチームは、対人関係が悪化し、イノベーションに陰りが見られ、その結果として売り上げと利益の損失につながります。従業員にやる気がなく、チームワークが悪く、コミュニケーションがうまく図れていない職場は、従業員の離職率が高くなり、企業文化に有害な影響をもたらします。それは金額に換算すると、米国の企業全体で過去 5 年間で推定 2230 億ドルに相当します。
結果
この調査では、職場に復帰した従業員と在宅勤務を続けている人を比較して、前者の自己評価したパフォーマンスに企業の方針と条件が与える影響を評価しました。4 つの評価指標のいずれでも、オフィスに復帰してからの方がパフォーマンスが全体的に向上したと回答しています。(各指標における個人の自己評価の詳細については、レポート全文を参照してください。)
- 個人の生産性は 3.1% 向上
- 共同作業の生産性は 6.1% 向上
- 個人の幸福度は 4.2% 向上
- 会社への愛着や帰属意識 は 8.0% 向上
職場環境に復帰すると、4 つの評価指標はいずれも平均して向上しますが、中にはパフォーマンスへの影響が特に大きい条件もあります。
会社の対応
職場復帰に向けて慎重に計画され、スムーズに復帰できたと感じた従業員は、共同作業の生産性が 7% 上昇し、会社への愛着や帰属意識が 12% 上昇したと回答しています。会社の対応が効率的でないと判断した従業員では、共同作業の生産性および帰属意識の面で 4% のパフォーマンスの低下が見られました。
満足できない職場復帰を体験した、ある従業員はこのように説明しています。「経営陣の考え方が伝わってきます。彼らの多くはまだ在宅勤務をしているのですから。」
従業員の自己評価によるパフォーマンスに影響を与えたもう 1 つの要因は、今年の春に会社が新型コロナウイルスに対してどのように初期対応をしたかです。新型コロナウイルスが流行する兆しを見せる中、在宅勤務に移行する取り組みへの会社の認識が乏しかった場合、後に出社を再開しようとした際に従業員の中で「不信感」が生まれました。
職場の安全性に対する会社の認識
安全性が中程度から極めて高いと判断された職場環境では ( English )、個人の生産性が 4% 向上しました。安全でないと判断された職場では、個人の生産性が 9% 低下しました。
オフィスで新型コロナウイルスの対策手順をすべて遵守することは難しく、時間がかかることだと認識しながらも、従業員を守るための対策がしっかり施されていることは全体的にプラスの影響がある、と従業員たちは感じています。「十分な安全対策を取る姿勢」は職場復帰を実現させる重要な要素だとわかりました。逆に、安全でないと感じた従業員は、余計なストレスがかかり、それがパフォーマンスに悪影響を及ぼしたと回答しています。
この認識にとり重要なことは、企業が合理的な安全上の対策を講じているかどうかです。企業が実施できる安全対策の上位 3 つは、以下の通りです。
- マスク着用の義務化
- ソーシャルディスタンスの実践
- よく触る箇所の清掃と消毒
すべての安全対策のうち、PPE と手指消毒液を用意した企業は、従業員の自己評価によるパフォーマンスに与えたプラスの影響が最も大きく、愛着や帰属意識が 11% 増加しました。
職場で同僚に接する時間
より長く職場に配置された場合、従業員個人のパフォーマンスが向上しました。週 4~5 日出社した人は、生産性と個人の幸福度が 6~9% 向上し、愛着や帰属意識は 13% 上昇しました。週に 1 日または 2 日しか出社しなかった人は、すべての指標で 3% 未満の増加に留まりました。
従業員の働く意欲でも同様の結果が出ています。週 4~5 日出社した従業員は、自宅勤務を続けている人に比べて 49~54% 高い意欲の向上が報告されました。週に 1 日しか出社しなかった人は、意欲の向上は平均 31% に留まり、平均値の 40% を下回りました。
従業員は、職場環境に復帰することの最も重要な利点は、同僚との何らかの交流 (人付き合い、同僚やクライアントとのコラボレーション、職場のコミュニティの一部だと実感するなど) だと答えています。
従業員は、オフィスに復帰することの重要なメリットとして、「元気」が出て「リフレッシュする」と感じました。彼らはきちんとコミュニケーションできることが重要だと回答しています。逆に、出社日や出社時間をずらした場合は、コミュニケーションと生産性でいくらかの課題が残りました。「誰もが継続的に出社しているわけではないので、依然としてコミュニケーションの問題があります」とある人は回答しています。「出社日をずらしているので、全員が職場にいるわけではありません。そのため、時には用事を済ませるために数日待たなければならないこともあります」という回答もありました。
オフィスのアメニティ
職場で提供される機能の中で従業員が最も重要だと認識するものには、専用のワークスペース ( English )とテクノロジーへのアクセスがあります。オフィス内の専用のワークスペースにアクセスできる従業員は、在宅勤務を続けている人に比べて、個人の幸福度が 6% 向上していると回答しています。オフィスにおいて、従業員は「クライアントと完璧な状態で働けるために必要なものすべてにアクセスできること」と「生産性とモチベーションが高まったと感じること」がポジティブな要素だと挙げています。
良好なインターネット接続やコミュニケーションを円滑にする高速ツールなど、必要なテクノロジーを提供した企業は、さらにポジティブな従業員体験を生み出しました。
従業員のワークスタイルを理解し、在宅勤務が有効な人または有効でない人を把握することは、オフィスに復帰することで最も高い恩恵を得られる従業員は誰かを判断するためのツールとして利用できます。これを利用すると、誰が頻繁にやりとりしているのか、またはコラボレーションのために依存し合う相手は誰かを見極めて、職場のコミュニティを確立することができます。従業員の出社スケジュールを調整することで、適切な人が適切なタイミングで一緒にいられるようになります。
働き方の未来 ( English )を見据えるにつれ、企業の方針は今後も従業員の活躍に影響を与えていくことでしょう。職場が新型コロナウイルスに対応していく中で、従業員の認識や好みを評価、監視、対応し続けることで、従業員のパフォーマンスと継続的なビジネスの成功が保証されます。
こちらより、オフィスへの復帰を成功させる条件をご覧ください。